あの夜、気づいてしまった「これ、仕事じゃないよね」
入社して3年くらい経った頃のこと。夜の9時を回った静かなオフィスで、私はひたすらコピペ作業に没頭していました。
設計から上がってきた部品リストを、発注用のExcelに転記する。コピー、コピペ、コピー、コピペ……。
当時の私は、これが「仕事」だと疑いもせずに受け入れていました。でも、その日何かが変わったんです。
「こんな作業、もういやだ」
心の底からそう思った瞬間でした。
調達マンの夜な夜なコピペ事件簿
部品調達部門で働いている方なら、この気持ち、きっと分かってもらえると思います。
設計部門から部品リストが届く → それをもとに各メーカー・商社・加工メーカーなどに手配するのが調達マンの仕事。
一見シンプルに聞こえますよね。でも実際は、設計リストを手配用のExcelフォーマットに延々と転記する作業が待っているんです。
その日の案件は特に地獄だった
眠い目をこすりながら向き合ったのは、かなり大きな案件。何十ものリストが山積みで、コピペだけで軽く1時間はかかる量でした。
しかも、たまに範囲を1行間違えてコピペしてしまうと……はい、最初からやり直しです。
「あぁーーーーー眠いし、もう(# ゚Д゚)」
画面を睨みながら、私は心に誓いました。
「いつかこのコピペ地獄から抜け出してやる!」
そう思った新人時代の私なのでした。
転機は突然やってきた―VBAとの出会い
それから数ヶ月。仕事も少し落ち着いた頃、私はあの夜のコピペ作業を改善しようと決意しました。
WEBや本を片っ端から調べていくと、一筋の光が見えてきたんです。
「VBAを使えば、何とかなりそうだ💡」
プログラミングなんてやったこともない。でも、やるしかない。そう思って、WEBを中心に独学でVBAの勉強を始めました。
試行錯誤の1ヶ月―初めて自分でコードを書いた
私が作ったVBAツールの仕組みは、こんな感じです:
VBA自動化ツールの流れ
- Excelフォームから工番(工事番号)を入力
- Filedialogから任意のExcelファイルを開く
- 複数のExcelファイルを同時選択できるように設定
- 設計Excelリストの配列を、発注用リストの配列に組み換えて反映 ・例: 設計リストA列 → 手配用リストB列 ・値を1つずつ代入していくイメージ
- この作業を選択した複数のExcelファイルに対して自動実行
インターネット先生とVBAの入門書を頼りに、寝る間も惜しんで格闘すること約1ヶ月。
やっとのことで、動くツールが完成したんです!
3ヶ月のテスト期間を経て、ついに実用化
完成したからといって、すぐに本番では使えません。まずは自分の発注用リストで3ヶ月ほどテスト運用しました。
幸い大きな問題もなく、動作も安定していることを確認。満を持して上司に報告したところ、部署全体での採用が決定!
結果、1時間かかっていた作業が、わずか5分で完了するようになりました。
「浮いた時間」は、ただの空き時間じゃない
VBAで自動化したからといって、VBAが走る5分間、腕組みして画面を眺めている訳じゃありません。
その5分で、他の仕事ができるんです。別の案件の確認、メーカーへの問い合わせ、書類整理……。
月20日稼働なら、5分×20日=100分。つまり1時間40分も時間が生まれる計算です。
100分って、思った以上に大きな数字ですよね。この時間で何ができるか、想像してみてください。
この経験を通して、私の時間に対する考え方は大きく変わりました。
「時間は作り出すもの」
そして、浮いた時間は累乗的に価値を生み出していく。
そう実感した出来事でした。
まとめ:「これ、仕事なのかな?」と疑問を持つことから始まった
あの夜、深夜のオフィスでコピペ作業に疑問を感じたこと。それが、私の自動化への第一歩でした。
VBAなんて触ったこともない新人が、1ヶ月の独学で業務を劇的に改善できた。この経験は、「誰にでもできる」という希望でもあると思っています。
今、もし同じような単純作業に悩んでいる方がいたら、こう伝えたいです。
・その作業、本当に手作業でやる必要がありますか? ・1時間かかる作業を5分にできたら、何がしたいですか? ・浮いた時間で、あなたは何を生み出せますか?
小さな「いやだな」という気持ちが、大きな変化のきっかけになる。
私の手帳には、今でもあの日の日付と「コピペ地獄からの脱出」というメモが残っています。
あなたの「いやだな」も、きっと何かの始まりです。
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